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2005/04/04

福井晴敏「終戦のローレライ」

 原稿用紙にして、2800枚。

終戦のローレライ 1(講談社文庫)
福井晴敏〔著〕

出版社 講談社
発売日 2005.01
価格  ¥ 490(¥ 467)
ISBN  4062749661

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 ご存知、映画「ローレライ」の原作です。
 映画を見る前に、ぜひとも読んでおかねば、と慌てて手にしたわけですが。

 これ、映画化を前提として書かれたものだって、本当? 無理ですよね?
 と思わずにはいられません。

 登場人物一人一人にわたって、深く掘り下げられた心理描写、生い立ち。
 ニッポンの軍政、ドイツの状況、アメリカの思惑。
 どれもこれも、細部まで丁寧に描かれています。
 上に書いたように、原稿用紙で2800枚。文庫本で4冊を必要としたストーリーです。
 わずか、二時間半程度の映画で表現しきれるものだとはとても思えません。

 もちろん、視覚から得られる情報というのは早いですから、何枚にもわたって書かれた戦闘シーンも一瞬で表すこともできるでしょうし、心理描写についても、演技一つで表現することも可能でしょう。
 それにしたって……どうなのよ。

 ただ、最後の伊507の戦闘シーンや、その後は映像で見たいと思いました。
 ロード・オブ・ザ・リングと同様(勝手に決めつけ)、原作を読んでから見た方がいい映画なのかもしれませんね。

 以下、ネタバレを含みますので、読まれる方は反転願います。

 ラスト、テニアンでの戦いの後、伊507がマリアナ海溝に沈んでいくところは、涙なしには読めません。
 絹見艦長、フリッツ、田口、時岡、岩村、木崎……それぞれがそれぞれの思いを抱いて、でも満足して散っていく様に、胸が締め付けられます。
 それはそれまでに描かれた各人の人物描写があってこそのものなのでしょう。

 理不尽な死が、何度も何度も文中で描かれます。それが戦争というものなのでしょう。
 私も「戦争を知らない子供たち」として育った一人ですから、戦争というものをこの身で感じたことはありません。それはとても幸せなことです。
 「百年間は草木も生えない」と言われた広島には、柳が芽吹き、今はもう当時の面影を残すものはわずかです。
 終戦から、まだわずか60年。ついこの間のことです。あまりにも世界が変わり続けているから、まるで遠い過去のことのような気がしますが、まだ一世紀も経っていません。
 なのに、世界では未だ戦う人がいて、日本も常に危機にさらされています。まだ後遺症に苦しみながら訴え続けている人は数多くいるというのに、人間は常に戦い続けるしかないのでしょうか。
 「せーの」で全ての人が武器を捨てる日は、もう来ないのかもしれない。
 パウラが海に足を浸して苦しまない日は、もう来ないのかもしれない。
 本当に?

 そんなことを考えずにはいられない話でした。

 しかしまあ……絹見艦長は男前だ。
 あなたのためにある話だよ、と訴えたかったですわ。

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コメント

おぉ!読破されたんですね!
ワタシも読もう読もうと思ってるんですけど、思うだけで・・・(笑)

映画のほうは結局見たんでしたっけ?
原作→映画ときっちり段階を踏んで鑑賞した人は、細部にわたって描かれてない!!!ってお嘆きな方が多いんですよね。
映画のほうはどうだったかまた感想聞かせて下さいね。(これで1日ネタがうまるでしょ?(笑)

投稿: dodo | 2005/04/04 19:09

すいません、TBを一回失敗してしまいました。申し訳ありませんでしたm(_ _)m

投稿: やす | 2005/04/04 22:50

>dodoさん
>おぉ!読破されたんですね!
 しました~! 最初は専門用語続出で、もう読みにくくて仕方ありませんでしたけど、途中から加速がついて一気に読みきりましたよっ。

>ワタシも読もう読もうと思ってるんですけど、思うだけで・・・(笑)
 お貸ししましょうか? 原作にもちゃんとパウラはいますから(笑)、面白いですよ。

>映画のほうは結局見たんでしたっけ?
 まだです~。日曜に行こうって言っていたんですけど、まだ読みきっていなかったので(汗。
 これでいつでもどんとこいです。あとは夫の仕事次第で見にいこうと思います。
 でもな~……時間的に考えて、省略されまくっているのが目に見えるので、「細部が描かれてない!」って嘆く人間の一人になりそうです(涙。
 近々見にいきますので、感想はアップします。ああ、これで一つネタができたわ(笑)。


>やすさん
>すいません、TBを一回失敗してしまいました。
 いえいえ、どうかお気になさらず。
 私も何度も失敗しちゃったことのある人間ですから(苦笑。
 では、リンクぎれしている方を削除しておきますね~。

投稿: リカ | 2005/04/05 08:43

おひさし~♪
ローレライ見たいね~、潜水艦とか第2次世界大戦物とか結構好きね~
でも、パールハーバーはいまいちだったね~
でも、個人的にはブラピの「セブン」が一番ね~

・・・ローレライはどこいったっ!

投稿: たかた@5丁目 | 2005/04/05 09:45

>たかた@5丁目さん
>おひさし~♪
 おひさし~♪ 今、そちらにコメントを入れて帰ってきたら、コメントが入っていたのでびっくりしましたよ。……運命?(笑)

>ローレライ見たいね~、潜水艦とか第2次世界大戦物とか結構好きね~
 「潜水艦ものにハズレなし」らしいんですが……ローレライはどうなんでしょうね~。
 ちなみにパールハーバーもセブンもどっちも観てません。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

>・・・ローレライはどこいったっ!
 その二作を観ずにローレライを観た方が吉かもしれないですね……。

投稿: リカ | 2005/04/05 10:20

んまぁ、運命ですかねっ!?
な~んて、寝言は寝て言えって言われそうなんで・・・

ちなみにパールハーバーは勧めませんが、セブンはお勧め
あまり詳しくは書きませんが・・・HAPPY ENDじゃなくても良いと思うなら見てみて。
少し、サイコちっくなんでウゲッ!?ってシーンもありますが・・・驚きのラストには、監督さんに脱帽です
ブラピ好きなら問題無いですが・・・モーガン・フリーマンのファンってのはナカナカいないでしょうし・・・

投稿: たかた@5丁目 | 2005/04/05 11:31

>たかた@5丁目さん
>ちなみにパールハーバーは勧めませんが、セブンはお勧め
 ほほう。メモらなくっちゃ。
 今度、ツ○ヤに行ったら、借りてみますね~。
 ハッピーエンドが好きなことは好きですが……戦争ものでハッピーエンドってのもどうかと思うので、大丈夫ですわっ。
 それよりも、サイコちっくなところに耐えられるか、ちょっと心配。頑張るぞ(いや、頑張らなくても(汗。

>ブラピ好きなら問題無いですが・・・モーガン・フリーマンのファンってのはナカナカいないでしょうし・・・
 ぶっちゃけ、基本的に映画はあまり見ないので、誰のファンとかないんですよ~。
 テレビで映画をやっていたら見る程度です(汗。いかんなあ。

投稿: リカ | 2005/04/05 17:42

こんばんはです
何やら映画の話で盛り上がって(?)ますねぇ~
セブンは◎ですよ
パールハーバーは借りてきたけど 最後まで見ずに返却していまいました
バックドラフトとかロビンフットとかも なかなかよかったです
 
今日はフェイシャルにいってきやした(^^

投稿: kana | 2005/04/05 19:29

お、終戦のローレライ、読み終わったんですね、お疲れさまでした(笑)。
私としては、ストーリーとしては面白かったし、いろいろ考えさせられもしたけど
どうにも福井晴敏氏の日本の国防や政治倫理に対する
考え方が受け入れられない部分が多くて
「そーかなあ、そうでもないと思うけどなあ」と何度もつぶやきながら読んでたのを覚えています。
まああれも、日本という国を愛しているが故の苦言、なのでしょう。
次は「亡国のイージス」ですねっ(笑)。←これもまたなんつうか、極論が多いですが。

私は映画も見たんですが、やはり2時間でまとめるのは
さすがに無理だったらしく、伊507の最期とかパウラのお兄さんとか
いろいろはぶかれてるとこもあったけど、
総じて「よくまあ、これだけ再現したもんだ」と思いましたねえ。
ただ、全体的にファンタジックでアニメチックな出来になっていて
あの映画を見ただけでは、人間のおろかさや国防のなんたるかなど、
福井氏のメッセージを感じることはできなそうです。
ま、映画ってのは興行的に成功しなきゃならないですしね~。

戦闘シーンはすっげえ面白いです、人が大量に死んでいくシーンなのに。
回天操縦士の清永が、小説では一番好きな登場人物好きだったのに
映画での死に様がものすごくマヌケで悲しくなりました(笑)。
それと艦長にしても他の乗組員にしても、どうみても平成の人にしか見えません(笑)。
オマエら髪くらい切れよ、みたいな。

投稿: しのぶ | 2005/04/05 23:34

あ、言うの忘れてた(笑)
新宿で行ったのは「出玉王」でした~。
西武新宿駅の目の前にあるやつです。

投稿: しのぶ | 2005/04/05 23:40

>kanaさん
>何やら映画の話で盛り上がって(?)ますねぇ~
 まあ本当なら大盛り上がりするところなんでしょうが、なんせ、私が詳しくないですからね~。とほー。

>セブンは◎ですよ
 なにやらオススメ作品みたいですね。
 そこいくと、パールハーバー……失敗したのか……。まあでも、反日的だと聞いたことがあるので、多分、一生見ることはないでしょう(汗。

>バックドラフトとかロビンフットとかも なかなかよかったです
 多分、どちらも観ていないです。
 もしかしたら観たのかもしれませんが、タイトルと内容が一致しないでしょう、きっと(ひどすぎる)。


>しのぶさん
>お疲れさまでした(笑)。
 ありがとうございます♪ ほんとに疲れました……。
 長いんだも~! 字が詰まってるんだも~! 専門用語続出なんだも~! とぶちぶち言いながらも何とか読破できました。でも読み終わってみると、そう長くもなかったな、と思えるこの不思議。謎です。

>受け入れられない部分が多くて
 確かに、戦争を扱うというのは難しい部分がありますよね。万人がOKを出すストーリーはまず作れないでしょうから、自分の考えを文章にするしかないでしょうし……。
 私も、引っ掛かる部分も多々ありましたよ(苦笑。
 戦争ものであり、歴史もの(?)でもあるので、歴史を捻じ曲げて書くわけにはいかないでしょうから、「無理に締めた?」と思うようなところもあったり。
 もちろん、ストーリー全体としては面白かったですけどね♪

>次は「亡国のイージス」ですねっ(笑)。
 そうなんですよ! 「ローレライ」が面白かったから、これも読まねば、と思っているところです(遅すぎ)。
 これも映画化されるようですね。今度は自衛隊が全面協力してくれているらしいので、期待度大です。
 早く読まないと……(汗。

>やはり2時間でまとめるのはさすがに無理だったらしく
 ああ、やっぱり……って、伊507の最期が充分に描かれていない?! そんな~! あそこが一番大事なところなのに~! あれだけで2時間使ってもいいくらい(笑)。
 しかも、フリッツもはぶかれてるんですかっ? うああ。

>総じて「よくまあ、これだけ再現したもんだ」と思いましたねえ。
 あ、しのぶさんの太鼓判があるなら大丈夫か。ほっ。
 実は予定では、明日、ついに観にいくことになっています。楽しみです♪

>ただ、全体的にファンタジックでアニメチックな出来になっていて
 あ、でも原作を読みながら、どことなくエヴァっぽいな、と思う部分がありました。どこ、とは言えないんですけど。映像化されるとまたそれが強調されるんでしょうか……。福井氏にとっては不本意かもしれませんね。
 
>戦闘シーンはすっげえ面白いです、人が大量に死んでいくシーンなのに。
 見所はそこなんですね。メッセージ性が少ないとなると、やはり映像に期待します。
 小説は小説で、そりゃあもう丁寧に描かれていましたけど、戦闘シーンなんかは、やっぱり映像の方がスピード感なんかがよく出ると思いますし。
 
>回天操縦士の清永が、小説では一番好きな登場人物好きだったのに
 マ……マヌケでしたか……。小説でも、ちょっと哀しい死に方でしたけど……。
 私はとにかく艦長が好きなので(笑)、役所さんにむっちゃ期待しています!
 文庫で三巻の最後にあたるところのキメ台詞が聞きたいわ~(「ローレライは歌わない」ってところです)。

>オマエら髪くらい切れよ、みたいな。
 そ……それは……何とかしていただきたかった……。

 明日、期待半分、不安半分(笑)で、行ってきます~!

>新宿で行ったのは「出玉王」でした~。
 あ、じゃあ行っていませんわ、多分。
 「ここは私の庭」とばかりに、JR新宿駅東口界隈をうろうろしてました。
 くっ、そんなところに優良店があったとは~!

 あ、そうそう、「パチスロ」はやっぱり、「パチ屋にあるスロット」の略で正解みたいです。ネットで拾ったネタなので、信憑性はどうか分かりませんが(汗。

投稿: リカ | 2005/04/06 01:04

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